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タタミのあなみずのブログ

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和室の研究者から      独り言・大事な物

「異端の建築再読」ブログより

建築余話-11和室について

建築が専門ではないけど住空間に興味をお持ちの方に向けて、定説にとらわれず自由な発想で書いた建築雑記帳です.昔ある建築情報誌に投稿した記事を加筆修正して再編集しています.
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11 和室ってどんな部屋?

「和室とは、畳、障子、襖、床の間などのある日本の伝統的な部屋である」と定義されています。しかし、では「洋室」に畳を敷いて障子を建てれば「和室」になるの だろうか、という疑問が残ります。

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今西家書院(伝.室町時代中期/奈良市)
1本溝に2枚の障子が建てられています.障子の桟は細く見えるように細工してあります. 障子の外の半蔀(はじとみ)が光や雨を制御しています.壁の仕上げは和紙です.

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慈照寺 東求堂 同仁斎(1486[室町時代後期]/京都市)
最も初期の書院造りの和室です. 床の間はまだありません.書院の障子を開けると庭が絵のように見えます.蟻壁があるので天井が軽く見えます.

鎌倉時代、障子や襖が発生しました。そして「和室」の空間は室町時代に成立しました。室町時代は、部分使用だった畳(置畳[おきだたみ]や回し畳)を室内全体に敷き詰めた居室「座敷(和室)」が成立したのです。

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竜吟庵 方丈 東脇間(14世紀後期[室町時代]/京都市)
障子の外に舞良戸が建ち、障子の光り具合を加減しています.「和室」は、室内と自然との流動感を造形した空間です。それは日本の風土から生まれた建築文化だと思います。日本人の感性に調和していたので、急速に普及していきました。

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(左)古い町家の 2階和室の腰窓 (右)マンションの和室の腰窓

「和室」空間は昭和の高度経済成長期に大きく変貌しました。変化の要因の一つは住宅の高層化にあります。 高層居室の高所不安を軽減するため、腰窓の位置を高くしたのです。従来の町家の2階の腰窓の高さは床から1尺(30cm)程度でしたが、高層マンションでは、腰窓は「洋室」の場合と同じように、3尺(1m)程度の高さに造られるようになったのです。

ですから「高層和室」では、座して腰窓から見える景色は近隣のビルの一部と住宅の屋根と空だけになりました。「和室」の特質だった自然との連帯感覚は、ぐっと減少したのです。この3尺高の腰窓は、何故か、一般の低層住宅にも普及しました。そうして閉鎖的で孤独な雰囲気のある「和室」が増えていきました。

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「和室」は「兼用」の空間. 「洋室」は「専用」の空間.
「和室」は一見単純なインテリアで、多くは似たような形式です。しかし、そこに置く家具や装置によって機能が多様に変わります。 例えば、ちゃぶ台を置けばその「和室」は「茶の間」となり、布団を敷けば「寝室」、上等な座布団を置けば「客間」になります。1室で多様な機能に対応できるのが「和室」の特徴なのです。

対して「洋室」は、「ダイニング」や「リビング」のように、最初から専用の機能が限定されているのが普通です。その住宅では、ある室の機能を他室の機能に兼用することは、 原則としてマナー違反になります。「ダイニング・キッチン」のように重複利用する場合でも、機能の区分けはしっかり意識してあるのです。

つまり、「和室」は「兼用」のできる1室多機能空間なのです。機能を「専用」する空間の「洋室」とは性格が異なります。それは「箸とフォーク」や「風呂敷とバッグ」の違いと同じです。 例えば、風呂敷は物に応じて様々な形にして収容できます。雨が降れば、少々の違和感はあっても頭からホッカムリもできます。対してバッグの場合は、収容物はある程度は限定されているし、頭に被れば異常な光景になってしまいます。

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「柱・梁」構造の建築が「兼用」の空間に、「壁」で囲む構造の建築が「専用」の空間に、発展しました.

そうした「兼用」と「専用」の概念の差異は、国民性が中途半端か完璧主義かの問題に起因するものではないし、また、空間文化が貧しいのか裕福かの問題でもありません。建築文化の個性の違いによるものだと思います。

「柱・梁」構造の内側を、様々な目的で充填して造作するのが日本的な建築姿勢です。ある目的のための空間を「壁」で囲んで場を専有するのが、西欧的な建築姿勢です。それぞれが「兼用」と「専用」の概念に展開したのだと思います。

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小野家住宅「桜の間」(1850[江戸時代後期]/長野県塩尻市)
満開の桜の絵が室内を「永遠の春の空間」に仕立てています.床柱に枝が付いていて、立体感を演出しています.
室内の装置によって空間性格を設定する特異な例として、塩尻市に幕末の旅館だった小野家住宅の客室「桜の間」があります。天井や壁、板戸など、部屋中に満開の桜がリアルに描かれています。床柱にも枝付きの桜の木を使って「桜」に徹底した「和室」です。

この「桜の間」は、寝具を用意すれば宿泊室になり、酒を用意すれば宴会場にも「兼用」できます。しかしそれ以上に、「瞑想の空間」にもなり得る、特殊な「兼用」が可能なのです。しばらく座っていると、忘れていた遥か昔の出来事が、瞬時に呼び起こされてくる不思議な空間です。「桜」のスクリーンにサービスされた室内は、空間機能だけでなく、時空を超えて人の感性に強く働きかける特異な性格を持っています。

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  「和室は床が明るくて天井が暗い」、洋室はその逆です.

「和室」には直射光よりも間接光が似合います。間接光は、柔らかい陰翳のグラデーションを造ります。
それが奥行き感の深い、空間にヒダがあるような「和室」を演出するのです。

間接光の演出する「和室」では、畳は明るい光の面となります。壁は沈むような薄明るい面になります。天井はすべての光を吸収する漆黒の面となるのです。柱や天井棹縁は鈍く光る線となります。クッキリした影には、そうした深みのある奥行き感は出せません。「和室」の座式生活の視点の高さと立ち振る舞いには、そうした間接光の演出する舞台の方が演技しやすいと思います。

しかし実際には、柔らかい陰翳の段階的構成は難しいと思います。そうであっても、単に「床面が明るくて、天井面が暗い」という「和室」の明度構成の原則を適用するだけでも、「和室」らしさは、かなりのレベルで造形できると思います。

「洋室」の場合は、生活視点が高いですから、それとは逆に、「床面が暗くて、天井面が明るい」明度構成になります。

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障子の造る「気配」は、空間の大自然への広がりを想像させます.そうした「和室」特有の光の空間は「障子」によって造形されます。「障子」は、視線は通さず「気配」を通す、優れたフィルターです。外光の微細なうつろいを「気配」で感じさせるのです。その感覚は、外界のサワサワという柔らかい音を伴って、大自然と、さらに大きな世界に連なっていく情感をもたらします。

「透明ガラス」は、見える範囲の外の自然をすべて見せますが、外界との直接の接触は遮断するフィルターです。
「ガラス窓」は、防水も遮音にも優れた、生活に便利な建具ですが、「障子」のように、空間の奥行きを演出する光を造り出すことは非常に苦手としているように思います。

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「障子」は腕を消した像に、「透明ガラス」は腕のある像に、例えられます.(右の画像の両腕にはダビテ像(ミケランジェロ)の腕を付けて加工しています)「障子ー気配」と「透明ガラスー視線の全透過」の感覚的な差異は、ミロのヴィーナス像に例えてもいいかも知れません。

実際の腕のない像は、かえって様々な腕の動きを想像させます。それは、人間の存在意義にまで思考を誘います。
対して、腕のある像は、その具体的な格好を見せて、そのポーズの意味を伝達しています。このヴィーナス像が世界的に愛好されているのは、プロポーションの良さだけでなく、偶然に両腕を消すことによって、より大きなイメージを促す造形であることも要因だと思います。

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如庵(17c初期[江戸時代初期]/犬山市)障子窓の様々な光と陰翳が、奥行き感のある空間を造ります.

「和室」の定義は様々あります。多くは、伝統的な材料で構成した部屋であるという定義です。しかし、それよりも、「和室」は人の感性を静かに刺激する空間であると認識する方が、より魅力的な「和室」がイメージできるような気がします。


余談
和室の素晴らしさを再認識できますね
日本の和室の歴史・文化

日本人の感性



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